ご挨拶

会長 中島 晴美

会員の皆さま、本年は、年明けと同時に大きな災害と事故に見舞われるスタートとなってしまいましたが、私たちにできることを考え、心を尽くして今年も頑張っていきたいと思います。


昨年、協会は、管弦オーケストラ共演による〈アランフエス協奏曲〉を課題曲に掲げた第 41 回コンクールという、歴史的なイベントを成功裡におさめることができました。開会に至るまでにはいろいろ不安もありましたが、アランフエス冒頭ラスゲアードとピッツィカートに導かれて颯爽と登場した、アンサンブルに寸分の隙もない弦のトゥッティ。それは眩い陽光を反射してきらめく、アランフエス庭園の噴水の輝きそのものでした。この響きを耳にしただけでもう“今日のコンクール~グランドファイナルの成功は間違いなし”と確信させられたものです。
当日、聞けなかった方々からはもちろん、その場に立ち会うことができた方々からも、尚更、「あの感動をもう一度」と前日の熱戦を繰り広げた 10 名の方々の優れた演奏の本選とグランドファイナルの動画公開を熱望する声に応えるべく、濱田吾愛先生のお力添えと、スペイン大使館の強い推挙のもと、ロドリーゴ財団のセシリア・ロドリーゴ女史(作曲者のご息女~アランフエスの著作権者)より、今回のグランドファイナルを「ホアキン・ロドリーゴが意図した“ギターと管弦楽によるアランフエス”の響き。それを最高のクオリティで企画実現してくれた努力と誠意に対し」として演奏動画を全世界に公開することに快諾をいただきました。
さらにローム ミュージック ファンデーションからも「今回の成功のさらなる継続発展を期待する」として、今年度コンクール「”創造と新生”新たな第1歩としての第 42 回スペインギター音楽コンクール」への助成継続を増額の上決定した、との通達を得ることができました。
これらの輝かしい成果もひとえに、実行委員一丸となって取り組み、会員の皆さまのご支援ご協力をいただけた協会全体の力強い結束あってこそ得られた大きな成果です。あらためて、ここに感謝申し上げます。
さて今年はロドリーゴ没後 25 年ということで、10 月 20 日(日)ミレニアムホールでの第 42 回スペインギター音楽コンクールは〈祈祷と踊り〉を本選課題曲に開催されます。〈祈祷と踊り〉は難曲だけに、かつて本選課題曲に選曲された際、応募者が激減したという過去があります。
“本当はアランフエスを課題曲にしたかったが、(難しくて応募者がもっと減るだろうから)しなくて良かった”とは、当時の大沢一仁会長(現、永久メモリアル名誉会長)の弁です。昨年のコンクールのレベルからすれば隔世の感がありますが、それだけに私たちはこのレベルを維持し、単に技術だけではなく、さらにスペイン文化への理解を深め、日本の文化と融合した“心の糧”となるような音楽を育てていかなければならないと思います。
来年 2025 年は、大沢一仁永久メモリアル名誉会長の生誕 100 年となりますが、今や、大沢先生に直接知己を得なかった若い世代のギタリストも、どんどん実行委員の任務を果たし、その優秀な頭脳と実行力で力強く協会活動を担い継承してくれています。
まずは、1 月 28 日開催「ニューイヤーコンサート」。第 50 回を記念する総勢 22 名による演奏を聴きに例年以上に大勢の皆様のご来場をいただき、お客様・出演者・運営一同、大変和やかに、ともに楽しみながら、気持ちを引き締めつつ新年を祝う最良のスタートとなりました。ぜひ今年もご一緒に頑張りましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

会長 中島晴美 2024年3月