第39回スペインギター音楽コンクール 第2次予選動画と講評

第39回スペインギター音楽コンクール第2次予選

※ 2021年12月に公開いたしました動画に、来年度の課題曲等いくつか誤りがございましたので、訂正して再度公開いたしました。たくさんの再生をいただきましてありがとうございました。ご了承いただけましたら幸いです。また各スポンサーの皆様、動画編集をしてくださいました高橋由希様にはこの場をお借りして改めまして御礼申し上げます。

当協会理事でスペインギター音楽名曲コレクション編集長の渡辺隆先生より、第2次予選についての講評をいただいております。
今後のご参考と励みにしていただけましたら幸いです。

第39回スペインギター音楽コンクール第2次予選 審査講評
 今年も新型コロナ感染拡大のため、残念ながら昨年に続き第2次予選は動画審査となりました。動画審査ですので、撮影場所や撮影機材などにより、音の違いが出るのは仕方ありません、各審査員はそれを考慮したうえで採点しています。第2次予選の課題曲タレガの「マリエッタ」は版指定の課題曲ですので、楽譜に忠実であることが要求されます。「マリエッタ」はタレガの長女マリア・ホセファのことで、タレガは愛情を込めて「マリエッタ」と呼んで可愛がっていました。しかし、残念ながら重病にかかり、僅か3カ月ほどで亡くなりました。その死を悼んで「Tristezas / 嘆き」として書かれたこの作品を、後に「マリエッタ」と改題されています。Lentoとなっていますのでタンスマンのポーランド組曲にもありますKujawiakというマズルカの一種でしょうか。後半のpiù mossoからは速く生き生きとした表現が望まれます。演奏にあたっては、ただ悲しく弾くだけで良いわけではありません、符点音符、装飾音の処理など、奏者の自発的な感性も要求される難しい曲です。審査終了後の感想としては、概ね技術的な課題のある奏者は少なかったと思いますが、Lentoで現れる付点音符の処理が短すぎる傾向があること。そして2.6.11小節に現れる複前打音の処理。基本は最後の音(主要音)にアクセントがあるのですが、それを意識していない奏者もいました。ここは主要音をスラーで出すことも、軽く弾くことも可能だと思います。また、グリッサンドの前打音を伴う重音(18.26小節)でもグリッサンドの終わりの音が主要音でフォルテとなっています。この部分は多くの奏者が最初の音を強く乱暴に弾いているのが気になりました。
さて、本選に残れなかった方の中でも素晴らしい演奏をした方がいました。印象に残った方々を審査員から寄せられたコメントを交えながら紹介しておきます。
大蔵奏太朗/参加者の中で一番Lentoを理解していました。più mossoからは一転、生き生きとした対比も素晴らしかった。久保夏実/音がしっかりしていて、メロディーと伴奏部のバランスも良く、丁寧に弾けている。林 信太郎/スラーやハーモニクスも美しく、1つ1つの音を確実に弾けていました。森田 晴/小気味良いアップテンポのマズルカを演出、しかも指が確実に弦を捉えギターとの一体感を感じさせる演奏でした。渡邊洋邦/落ち着いて弾いていました。メロディーと他声部のバランスも良く、音の確認ミス(14小節)が、もったいないです。田中晴彦/メロディーを支えるように低音の動きが美しく、丁寧な演奏でした。厚地翔太/メロディーが浮き出るように美しく、間合いの取り方も良かったです。
緑川敦彦/自分の手の内に入っているようで、前進力もあり、気持ち良く聞かせて頂きました。
来る10月10日(日)の本選会は第2次予選応募者全員と、当協会会員、協賛社の方々をご招待しての開催となりますが、新しく「聴衆賞」を設けました。また2次予選、本選会の模様は、それぞれ後日、昨年同様You Tubeにて世界に公開されます。第2次予選の厳しい審査を通過した6名の本選出場者の熱演に大いに期待したいと思います。スペインギター音楽名曲コレクション編集長
日本・スペインギター協会 地方理事 渡辺 隆
※ 以下はYouTube概要欄にて掲載されております。⚫︎Opening
スペイン大使(ホルヘ・トレド閣下)お祝辞 Mensaje del Excelentísimo Sr. Embajador Jorge Toledo de España en Japón: 0:14CM:スペイン政府観光局 Oficina Española de Turismo en Tokio: 1:15

日本・スペインギター協会会長 (中島晴美)ご挨拶 Mensaje de Harumi Nakajima, presidenta de la Sociedad de la Guitarra España-Japón: 2:21

第2次予選課題曲:マリエッタ(F.タレガ)

⚫︎第2次予選 第1部 No.1~9
島村 篤史(千葉)
乙川 利夫(埼玉)
山本  護(大阪)
小林  透(東京)
大蔵奏太朗(神奈川)
小林 龍和(東京)
山口恵一郎(千葉)
鈴木 博之(東京)
有賀 勝巳(長野)

CM:インスティトゥト・セルバンテス東京 Instituto Cervantes de Tokio:24:32
CM:仏 サバレス社 Savarez:25:29
CM:リヤドロ Lladró: 25:46

⚫︎第2次予選 第2部  No.10~17:
田口 昌義(埼玉)
久保 夏実(北海道)
深澤 太一(静岡)
林 信太郎(東京)
太田垣昌志(京都)
木下 敏雄(神奈川)
森田  晴(茨城)
渡邊 洋邦(栃木)

CM: IDホールディングス ID Holdings:44:45

⚫︎第2次予選 第3部  No.18~26:
田中 春彦(東京)
厚地 翔太(埼玉)
西川知ひこ(埼玉)
佐々木みこと(北海道)
山本 孔彦(東京)
伏見 晃司(東京)
伊倉 雅之(神奈川)
原田 敬子(千葉)

CM:河野ギター製作所 Kohno Guitar Manufacturing:1:08:42
CM:クロサワ楽器店 T.KUROSAWA & CO.,LTD.:1:10:15

⚫︎第2次予選 第5部  No.27~33:
村松  淳(山梨)
眞野 雅規(千葉)
大守 善久(京都)
山口 直哉(千葉)
緑川 敦彦(東京)
佐々木真実子(東京)
赤井 香琳(埼玉)

CM:ギターショップアウラ:1:27:45
CM:メディアカーム:1:28:22
CM:島村楽器丸井錦糸町クラシック店 Shimamuramusic:1:28:53

⚫︎第2次予選 第6部  No.34~41:
近藤  勲(千葉)
田島  尚(東京)
直井 正敏(千葉)
古都 秀樹(千葉)
福山 日陽(愛知)
曽根 知輝(千葉)
杉山  猛(大阪)

CM:昭和音楽大学 SHOWA ACADEMIA MUSICA: 1:46:12

第40回スペインギター音楽コンクール 予告:1:49:45

⚫︎Ending:1:50:24

※ 本選動画はこちらです。

第39回スペインギター音楽コンクール
EL TRIGÉSIMO NOVENO CONCURSO
DE GUITARRA DE MÚSICA ESPAÑOLA

【後援】
外務省
駐日スペイン大使館
スペイン政府観光局
インスティトゥト・セルバンテス東京
台東区
台東区教育委員会
日本ジュニア・教育協会

【特別協賛】
IDホールディングス

【協賛・後援】
J.G.A
河野ギタ-製作所
現代ギター社
荒井貿易
仏サバレス社
クロサワ楽器店
白寿生科学研究所
リヤドロジャパン
S.I.E
山野楽器
ファナ
ギタルラ社
ロッコーマン
アウラ
アンダンテ
メディア・カーム
シルフィード
西村製作所
フィガロ
島村楽器丸井錦糸町クラシック店
読売・日本テレビ文化センター
昭和音楽大学

【ジングル 演奏】
大谷恵理架 Erika Otani
(第38回スペインギター音楽コンクール第1位)

【エンドロールBGM 演奏】
小林 龍和 Ryuto Kobayashi
(第39回スペインギター音楽コンクール第1位)

【動画編集】
高橋由希

【主催】
日本・スペインギター協会 LA SOCIEDAD DE LA GUITARRA ESPAÑA-JAPÓN