会長より~第35回スペインギター音楽コンクールを終えて~スペイン国王フェリペ2世に謁見

日本・スペインギター協会会員の皆さま。2017年も間もなく終わろうとしておりますが、ここに今年一年の協会の活動を振り返り、あらためて皆さまの労をねぎらうとともに、来年のさらなる発展へ、ご一緒に思いを新たにしたい所存です。

まず1月恒例のニューイヤーコンサートは、43回目となり、新会員を加え充実したラインナップのもとに開催、例年以上の盛会・成功となりました。長期間にわたる安定的な開催の継続と、ギター界におけるこの会の定着は喜ばしいかぎりです。

そして、当協会の主要事業の一つである、スペインギター音楽名曲コレクション第2集(現代ギター社刊)が1月ニューイヤコンサートーに合わせ発刊されました。第1集にくらべより難度の高い作品も加わり充実した選曲となっております。実行委員会スタッフの方々の、労多き作業の完遂に心より感謝いたします。
また現在は来年のコンクールに合わせて発刊予定の第3集に担当委員一丸となり、鋭意取り組んでいる最中です。

2月には、かねてより念願だった東京港区のスペイン大使館内におけるコンサートが、大使館主催のもとに実現しました。2016年第34回コンクール優勝者・茂木拓真さんのリサイタルは、入場希望者が殺到するたいへんな盛況となりました。

3月の総会は過去最多の出席者数を数えました。会員皆さまの、協会運営への関心には心強い思いです。
この総会と同時に、実行委員会制がスタート。コンクール、ニューイヤーコンサート、名曲コレクションの編集出版、それぞれ事業ごとに、順調にスタッフ運営が進行し現在に至っているところです。

4月には来日したスペイン国王フェリペ2世に、謁見を賜るというたいへん光栄な出来事がありました。
たまたま、会長職にあります私、中島が協会代表としてお招きに預かりましたが、これはもちろん団体としての日本スペインギター協会が謁見を賜ったものであり、大澤一仁永久名誉会長をはじめとする、協会先生方のこれまでの尽力、協会会員全員の方のスペイン音楽への愛情がもたらしてくれた機会です。
国王へは協会の長年にわたる活動と、私たちのスペイン音楽への思いを、短い言葉ではありますが、直接お伝えする事ができました。
国王の「大切なのは、日本・スペイン両国民の知的交流により、お互いが相手の国に惹かれ、強い親愛の情を抱いていることです」というスピーチは、私たちにも深く関わるところであり、たいへん感動いたしました。

やはり4月、これも今年初めて実現した企画ですが、白寿生科学研究所様のご寄贈により、東京渋谷区の白寿ホール1階ロビーにおきまして、2月に続き、茂木拓真さんのソロリサイタル、Hakuju・優勝者ロビーコンサートが行われ、大使館コンサート同様、素晴らしい演奏を披露していただきました。ご承知のとおり白寿ホールは、東京国際ギターコンクール、GGサロン特別コンサート、HAKUJUギターフェスタの会場となっており、今やギター音楽に最適な主要ホールの一つですので、このHakuju・優勝者ロビーコンサートも、広く周知され定着できましたら、非常に面白い企画になると考えております。

7月以降はコンクールの準備と、新企画のシミュレーションに忙殺されました。当日の参加者受付から抽選、控え室誘導などの効率的な改善策、表彰式の段取りリハーサルや、審査集計のコンピュータ化による能率アップ、成熟を意味する言葉を冠した、45歳以上のコンクール出場を対象とする新賞、マドウーロ賞・マドウーラ賞を導入いたしました。

そのコンクールは第35回を数え、エンリケ・グラナドスの没後150年を記念し、グラナドスの2作品を第2次予選・本選の課題曲として、10月8日に実施されました。本選出場者6名によるたいへんな熱演の末、優勝者のノエル・ビングスリーさんをはじめ、今年もまた優れたギタリストを世に送りだすことができました。
 
昨年のコンクールは会長就任後数ヶ月のことで、まだまだ見習い修業の部分もありましたが、今年のコンクールは、書ききれないほど新しい改善の試みが提案され、綿密な準備のもとに、各担当のチームワークで、全員主催者として一致団結、成功裏に終わったことほど、喜ばしいことはありません。コンクールが終演した後の新旧会員の皆様の無事成し遂げたことを祝い合う、晴れやかな笑顔が、本当に嬉しく、皆様への感謝の気持ちで胸が一杯になりました。
 
長年変わらぬご支援を頂いているジャパン・ギター・アソシエーションJ.G.A(黒澤澄雄会長)、河野ギター製作所様はじめギター専門店各社様のご提供賞品に加え、昨年より賛同をいただきました協賛会社様の各種ご提供により、賞品内容も更に充実したものとなりました。改めまして厚く御礼申し上げます。

またこれもコンクール関連ですが、やはり10月、インフォメーション・ディべロプメント株式会社様から優勝者へ寄贈していただきました特別賞として、スペイン・セビーリャで行われた国際ギター講習会に、茂木拓真さんが参加しております。

さて最後の話題となりますが、10月12日、スペイン大使館にて行われたスペインナショナルデイ(国家の日)に招待されました。コロンブスのアメリカ大陸発見の日を記念した祝賀会ですが、この席上、歴代の日本国スペイン大使のお歴々の方々に、来年2018年のスペイン日本外交関係樹立150周年記念行事に是非と、お薦めいただき、このたび2018年1月28日の第44回ニューイヤーコンサートと10月14日の第36回スペインギター音楽コンクールを「スペイン日本外交関係樹立150周年記念行事」と名打つことができるようになりました。このことを、会員の皆さまとともに喜びたいと思います。

私事ですが、私、中島は今年6月トルコとイタリアに演奏旅行 ・ソロリサイタルを行い、多くのたいへん貴重な経験をさせていただきました。また村治昇前会長が、ギター教授歴50周年を迎えられ7月には記念式典が盛大に催されました。新CDリリース、リサイタルなど大活躍の河野智美会長代理(別掲)をはじめ会員の皆さまも、今年いろいろな活躍をされたことと思います。ぜひそれらの様子を協会までお寄せいただき、後援イベントをはじめ、この会報など広報で広く紹介させていただきたく思います。

どうか皆さま健康には充分留意され、スペイン日本外交関係樹立150周年にあたる来年2018年を新しい飛躍の年として迎えていただきたいと願っております。

来年も、日本・スペインギター協会をよろしくお願い申し上げます。  
日本・スペインギター協会 会長 中島晴美

(2017年12月発行会報より)